お米づくり

百菜劇場は、2011年から滋賀県近江八幡市北之庄町でお米づくりをはじめました。
当初は、約70アール(7000㎡)の田んぼを借りて、トラクター、田植え機などの機械作業は町内の農家さんにお願いしていました。百菜劇場のスタッフは、日常の水管理や草刈りを行い、田植え、除草、稲刈りは農業体験イベントを開いて、消費者参加型のお米づくりを行っていました。
その頃、有機栽培でお米づくりを行う人は町内にはおらず、「農薬を使わないお米づくりはままごと」と言われていました。

百菜劇場の稲刈り体験

機械作業を協力してくださっていた農家さんが高齢化による経営縮小をすることになり、2014年から、集落営農組合の農業機械を借りて、百菜劇場のスタッフでお米づくりの全行程をすることにしました。
その後、町内の農家さんや農機具店から、中古のトラクター、田植え機、コンバインなど必要な機械を購入し、同時に高齢農家さんの田んぼを引き継いでいきました。

2024年現在、2011年の約7倍、5ヘクタール(50000㎡)の田んぼでお米づくりを行っています。

百菜劇場のトラクター

お米づくりをはじめて10年目の2020年、百菜劇場で農薬を使わずに管理してきた田んぼには、明らかに生きものが多いことを実感するようになりました。
「ままごと」と言われていた有機農業をこの地域に根付かせることを目指し、環境面でも経営面でも持続可能な農業のあり方を現在進行形で模索しています。

百菜劇場の生きもの

栽培のこだわり

農薬を使わない工夫
お米は日本の気候風土に適した作物です。自然に沿った栽培を心がければ、病害虫に対する農薬は使わなくても育ちます。
農薬を使わないお米づくりの要は「雑草をいかに抑えるか」です。
稲が雑草に負けてしまうと収穫が大幅に減少し、ひいては農業を続けていけるだけの収入が得られなくなってしまうため、多くの生産者は除草のために農薬を使用します。
百菜劇場では、雑草が生えにくい環境を整えるために、さまざまな工夫をしています。

  • 秋~冬の間、田んぼを2~3回耕す
  • ほかの田んぼと比べて早く水をはり、水を深く保つ
  • 代かきを普通より1~2回多く行う
  • 田植えと同時に、田んぼの表層に有機肥料をまき、雑草の発芽を抑える
  • 田植えから1週間おきに中耕除草を3回ほど行う

これらの工夫を行っても生えてきた雑草は、手で取って除草しています。

使っている肥料
稲が健全に育つよう観察しながら、土づくりのために最低限の有機肥料(国産の魚のアラと米ぬか、鶏糞)を使用しています。※有機JAS適合資材
地域の資源を有効に土へ還す、循環型のお米づくりを目指しています。

自家採種と育苗
土地に根ざした稲を育てるために、種籾を自家採種しています。
雑草に負けない、丈夫な苗づくりのため、育苗期間も人工的な加温は行わず、ハウスではなく田んぼで苗を育てています。
農薬を使わない育苗は、苗が病気になるリスクが高いので、予防のために、種まきの密度を薄くして風通しをよくします。そのため育苗箱がたくさん必要になり、コストもかかります。「苗半作」という言葉があるように、苗づくりは稲作の要であるため、毎年試行錯誤して、よい方法を探しています。

百菜劇場の育苗